14歳/かもめのジョナサン

名作と言われる本を読んで、「まあ、こんなものか」 くらいの感想しか湧かず、

暫くたってもう、その本が本棚に有ることすら忘れかけていた頃に、

まったく予期せぬ角度から、自分のぬるい読後感を心地よく破壊されると言う、珍しい体験をしました。

かもめのジョナサン。

ヒッピームーブメントに押されて大人気になったアメリカの小説。

飛ぶ能力をエサをとるためだけに費やして生きる事に疑問を抱き、極限まで飛ぶ事を追究し、周りから白い目で見られながらも最後には神格化され、崇められるようになる、変わり者のカモメの話です。

70年頃のヒッピームーブメント全盛のアメリカの若者達が、禅の精神とグレイトなリーダーを求めていた頃の作品で、

マウロスカルニケもそんな時代背景を聞き齧り、知った積もりになって、特にヒッピー文化が好きなわけではなかったので(集団で反社会的な思想を持って反発する70年代よりも、

個人的な疎外感や家族とのすれ違いで反発する50年代の若者文化の方がしっくりくるお年頃だったのです)、

ふーん、位で読み終えて、読み返す事もなく時間は過ぎていったのですが、

ある日、

イントロにカモメの鳴き声が入ったある曲がスピーカーから流れだし、

4分18秒後には本棚から埃を被った紺色の表紙の本を引っ張り出して、それを手に持ったまま1人でスピーカーを凝視していました。

ジョナサン 人生のストーリーは

ジョナサン 一生じゃ 足りないよな

ジョナサン 音速の壁に

ジョナサン きりもみする

読書の感想なんて、

映画等の感想に比べてかなり個人的な物で

他人に話して共有したり、あまりしないものでしたが、

この感受性は…衝撃的であると同時にとても羨ましく思いました。

映画にしろ、音楽にしろ、小説にしろ、漫画にしろ、せっかく出会ったからにはもっと真剣に、謙虚に向かい合わなければ、と思いました。

甲本ヒロト氏、ありがとうございます。

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